失われた自分を求めて

元公務員/元フリーター/元ニート/アラサー/思いは言葉に

「転職してよかったか」への元公務員の答え

都知事選。ソーシャルディスタンス!の大波の勢いで、オンライン投票も解禁になるといいなあ。気乗りしない選挙ほど、投票に行くのが億劫になりそうな、非模範的市民のアラサトです。


最近、転職を考えている人と話すことがあり、「アラサトはなんで転職しようと思ったの?」とか「転職してよかった?」とか聞かれることもしばしば。
あ、もう1年経ったのか。あのときから。
と感慨にふけることもしばしば。

ということで、国家公務員を辞めてだいたい1年たった現在のアラサトが振り返ってみようと思います。


転職してよかったか
この質問。聞いている方は「よかった」という回答を期待し、聞かれた方も自分の選択が正しかったと思いたいので「よかった」と答えがちな、この質問。
実際は、職種・年齢・ライフイベントなど、その人の状況や見方によって、全く異なる結論になると思います。そんな大前提の中、得られたものと失ったものを書いてみます。


【転職で得られたもの】

  1. 健康で文化的な生活
  2. 無駄な作業や無駄な長時間労働からの解放
  3. 職員間のフラットな関係性
  4. IT設備などが整った業務環境
  5. 民間人という立場
  6. 自分のキャリアは自分で考えるという覚悟

これまで何度か霞が関の不思議な仕事文化を紹介してきましたが(コチラコチラ)、2~4はそれが解消された状態、その結果1が得られたという感じです。平均19時帰宅、どんなに遅くても21時前に帰宅。非効率的な作業激減。仕事用PCや携帯端末の貸与。コロナウイルスの影響でも問題なくテレワークができています。

5も大きいですね。公務員の時は、ネット上に自由に気軽に書くというのは、なんとなく避けていました。語弊を恐れずに言うことなどできませんでした。

6は内面的なもので、これも大きいです。毎月それなりの給料をもらい、それなりに面白い仕事をして、多少の違和感にはフタをして。そのうちに、自分のキャリアを誰かに預けそうになっていました。転職を通じて、改めて初心にかえり、自分の役割や向かいたいところを定めることができました。


【転職で失ったもの】

  1. 政策形成過程への距離感
  2. 給料?(時間当たりの給与はあがったっぽい)
  3. 肩書き?
  4. 「普通の人」感

なんだかんだ公的サービスの仕組みづくりは行政中心です。国家公務員という立場だからこそ関われる仕事も多くあります。そういう仕事に運よく巡り合えるかという問題はありますが。

給料はその人のポジションや転職先、肩書きはその人の考え方によって、判断が異なるでしょう。ぼくの場合は、幸運なことに給料は減りませんでした。肩書きも、元○○省となった今でも人によっては構えられてしまって嫌なだなあと思うくらいなので、むしろ肩の荷が下りてハッピーって感じ。

4は、「得られたもの」の6にも関わりますが、端的に言えば、「嫌なら新しい環境に行けばいいじゃん」を覚えてしまったということですかね。だいたいの人は我慢するわけですよ。その「だいたいの人」には当てはまらなくなり、周囲にも多少そう見られるということです。


転職できたのは運
今思えば、転職できたのは運も大きかったなーと思います。自分の幸せやキャリアについて、じっくり考える必要があると思い、転職先を決める前に辞めました。これはけっこう人に驚かれます(笑) この国では、転職先を決めてから辞めるのが一般的なようで。その後の面接でも「先に辞められたのはなぜですか」と何度か聞かれることもありました。

たしかに、少し準備不足だったとも思います。偶然そのタイミングに中途の採用枠があって、偶然職種や分野もそれなりに合致した内容だったので、今の職場に採用されましたが、けっこう運というか賭けのような状態だったかも、と。こんな感じで能天気に自分の転職活動を振り返れるのも、縁やタイミングに恵まれたからだとは痛感しています。


周りの環境は変わるということ
一つ、この1年間の経験から言えることがあります。待っていると環境は変わることがあるということです。関心のない分野に配属された、とか、反りの合わない上司や同僚がいるとか、いろんな理由で仕事に前向きになれない状況。でも、急な異動で部署が変わったり、上司が変わることもあります。実際、省庁にいた頃の部署は、人事異動を経て今ではかなり働きやすい環境になっている様子。ぼく自身も転職後、配属先の部署で苦労することがありましたが、人事異動があり環境が変わりました。

いじめと似ているかもしれません。まあ一生続くわけじゃないし、と環境が変わるのを待ってみるのも一つなんだと学びました。ただ、過労死するまで働くとか、うつになるほどしんどいといった状況は例外です!脱出ポットを使ってスポーンっと脱け出すべきです。健康第一。

転職で無理やり環境を変えても、自分の望む環境があるとは限りません。待っていれば望む環境がくるかもしれない。こないかもしれません。この判断こそ、実はめちゃムズなんです。。。


と、歯切れ悪く色々書いてしまいました。ぼくは、転職後の現状に満足しているし、充実感も得られていると思います。でも、これだっ!という結論は得られてなくて、経過観察中みたいなかんじです。

人生の決断は難しい。
「いい決断」かなんてすぐにはわかんなくて、だんだん「いい決断」になっていくのかもなーと。
はい、名言めいたことが出たのでおしまいです。
都知事選の結果を見てきますのでこのへんで。